経団連観光インターンシップ②MICE施設見学編~名古屋と羽田

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)では、「経団連観光インターンシップ」を実施しており、立教大学、東京都立大学、東洋大学が参画し、経団連観光委員会有志企業の協力のもと、講義と就業体験による実践的な教育機会が提供されています。
株式会社コングレは各大学から学生を受け入れ、2024年8月20日~27日の間の5日間、体験実習を行いました。
レポート第2回は、MICE施設見学編。名古屋国際会議場、名古屋市国際展示場とコングレスクエア羽田の施設見学をご紹介します。

名古屋国際会議場センチュリーホールの舞台上にて
名古屋国際会議場センチュリーホールの舞台上にて

名古屋国際会議場

「名古屋国際会議場」は、株式会社コングレが公益財団法人名古屋観光コンベンションビューローとともに指定管理者として管理運営を行う施設です。

本会議場で開催される「第28回日本看護管理学会学術集会」の設営日に館内を見学します。
コンベンションの設営でどのように施設がレイアウトされていくのか。吹奏楽の聖地として知られるセンチュリーホールの舞台にも楽屋や舞台袖を通って上がり、観客としては味わえない景色を体験して運営側の視点を学んでいきます。

舞台袖からセンチュリーホールの舞台へ
3号館の国際会議室前の壁画

その後、中谷館長と施設の社員が「名古屋国際会議場の役割と目指すもの」と題して様々な取り組みを説明しました。

施設運営の主要なビジネスモデルは、ホールや会議室をイベントなどを主催する利用者に貸して収入を得る貸館業務です。貸館としての本会議場の平均稼働率は、全国的に見ても高い水準にあります。
この貸館業務を基本とした上で、本会議場では「"場"を活用した事業、新しい価値の創造」を目指して、独自企画の事業にも積極的に取り組んでいます。

「ハコ」から「場」への発展を目指して、本施設が独自で企画した主催イベントの例として、「 吹奏楽エールコンサート2020 」や「 がんばれ能登 緊急支援チャリティーコンサート 」などの実績を紹介しました。

なぜそのようなイベントを行うのか。それは名古屋市の施設として、地域のために役立てていく、地域の人と共に「場」をつくりあげていくことを大切に考えているからです。明確な軸として、①名古屋市の施策、②熱田・周辺地域、③施設のオリジナリティを考慮し、テーマ性のある事業を企画し実施しています。

インターン生からは「地域の人たちとのリレーション、モノ以外のレガシーを残すことの大切さを学んだ」「MICEと地域の関り方について具体的に知ることができた」「プレゼンの企画提案のヒントになった」といった声が挙がりました。

中庭のベンチ。「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」の際に主催者から施設に寄贈されたものであることを説明
レオナルド・ダ・ヴィンチ製作で未完成に終わったものを再現した「幻のスフォルツァ騎馬像」前で記念撮影

名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)

「名古屋市国際展示場(愛称:ポートメッセなごや)」は、名古屋国際会議場と同様の枠組みで、株式会社コングレと公益財団法人名古屋観光コンベンションビューローがコンソーシアムを組んで指定管理者を務めている施設です。
旧第1展示館に替わり、2022年10月に開業したポートメッセなごやの「第1展示館」は、日本最大級2万㎡の広い無柱空間を誇り、見本市・展示会や有名アーティストのライブなど、大規模イベントを開催しています。

金城ふ頭駅に降り立ち、ペデストリアンデッキを進んだインターン生は、目の前にそびえ立つその第1展示館の大きさに圧倒されていました。

駅から直結の第1展示館を背に記念撮影
駅から直結の第1展示館を背に記念撮影

愛屋館長と施設の社員が展示会や展示場の役割、ポートメッセなごやの特徴などを説明しました。

展示場で開催されるのは、主に見本市・展示会・イベントで、MICEの「E(Exhibition/Event)」にあたります。
「見本市」とは、Trade Showという英語が示す通り、商品やサービスの取引に重点が置かれていて、「展示会」(Exhibition)は商品やサービスの認知度を上げるために公開する催しです。これらは集客効果が高く、産業の発展や創出に寄与するため、地域活性化を目的として、MICE施設を建設・運営する都市が数多くあります。

日本を代表する展示場である東京ビッグサイトや幕張メッセなどは学生の皆さんにも一般的に知られていますが、海外にはもっと大規模な展示場が数多く存在し、展示会ビジネスは大きな産業となっています。

間仕切りにより4分割が可能な第3展示館
第1展示館のエントランス。窓の向こうには海が広がっています。

ポートメッセなごやでは、独自企画の主催事業も積極的に行っており、第1展示館の広い無柱空間を活かした 「マーチングの祭典『第23回動くコンサート』」 の実績などを紹介しました。

説明後は社員の案内で施設内を見学し、インターン生はメモを真剣に取りながら、広い展示場を行ったり来たりして、気になる点を質問していました。

コンベンションセンターのテラスから眺める第1展示館と海
コンベンションセンター内のコンベンションホールA

コングレスクエア羽田および羽田イノベーションシティ

東京では、コングレ直営のホール&カンファレンス・会議室「コングレスクエア羽田」と、その施設があるHANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ、略称:HICity))のまち全体を訪れました。

HICityは、羽田みらい開発株式会社と大田区が官民連携で開発する「先端」と「文化」が融合する新しいまちで、「先端モビリティ」「健康医療」「ロボティクス」などに関連する企業や機能が集積しています。

HICity内を周回する自動運転バス
コングレスクエア羽田のホール

天空橋駅に着いて早速、HICity内を周回する自動運転バスが通り、まちの雰囲気を体感。その後コングレスクエア羽田の会議室に移動し、新卒入社の若手社員が自身の業務やHICityとコングレスクエア羽田について説明しました。質疑応答にはゼネラルマネージャーの近藤も加わり、まちづくりの一環としてMICE施設があることをインターン生に伝えました。

コングレは、このまちのメンバーとして、まちの関係者と一緒に最先端技術や地域活性化を推進する場づくりを行っています。その実績として「 Grand Opening Event∅ 」や「 大田区主催の産学連携・新技術展 」などを紹介しました。

HICityの各建物を結ぶInnovation Corridor
ゼネラルマネージャーの近藤も参加。様々な質疑応答があり、説明にも力が入ります。
HICityの足湯スカイデッキで羽田空港を背に記念撮影
HICityの足湯スカイデッキで羽田空港を背に記念撮影

MICE施設見学編では、名古屋市にある日本有数の国際会議場と国際展示場、そしてコングレ直営の施設で、MICEが開催される場を実際に体験してもらいました。
どの施設も、貸館業務に留まらず、地域の一員として、地域活性化・まちづくりに貢献すべく事業活動を行っています。

レポートは、第3回「 コンベンション編~学術集会の運営体験 」へ続きます。