IFAC World Congress 2023 ~自動制御分野における最大規模の国際会議が横浜で開催されました

2023年7月9日~14日、横浜市のパシフィコ横浜にて、自動制御分野における最大規模の国際会議「IFAC World Congress 2023(第22回国際自動制御連盟世界大会)」(主催:IFAC(International Federation of Automatic Control)、日本学術会議、Japan Association of Automatic Control(JAAC))が開催され、株式会社コングレ(東京都中央区、代表取締役社長:武内 紀子)は会場設営と会議運営を担当しました。

メインホールで行われたプレナリートーク
ロボットによるサービス技術のデモンストレーション

1960年以来、3年ごとに世界各地で開催されている本会議は、約3,000人の参加者が集まって、自動制御に関する理論、技術やその応用、社会課題などの横断的な学術的討論を行う国際会議です。
今回は、1981年の京都での開催以来、42年ぶりの日本開催となりました。伝統文化と革新的技術の調和 "Wa(わ)" をテーマに、社会問題解決と社会的価値創造のためのシステム制御分野の新しい展開を目的として、学術的討論を行うテクニカルセッション、ワークショップ、フォーラムに加えて、ドローンやロボットのコンペティションや自動制御システムに関する展示などが行われました。

9日の開会式には天皇皇后両陛下がご臨席されました。また、書道家 粟津 紅花・紅翔氏による、今回のテーマ "Wa" を表現した書道パフォーマンスが行われ、作品がエントランスに展示されました。

会場に展示された第1回からの歴代フラッグ
開会式の書道パフォーマンスで書道家 粟津 紅花・紅翔氏が披露した開催テーマを表現した作品

3つのコンペティション

本会議の目玉企画として、ドローンやロボットのコンペティションが3つ開催されました。

MathWorks Minidrone Competition

7月10日と11日には、展示ホールでドローン操縦ソフトウェアの性能を競う大会「MathWorks Minidrone Competition」が開催されました。大会には、職業や居住国を問わず、国内外から集まった計7チームが参加。各チームのドローンが、出題されたルートをどれだけ正確に辿れるかを、審査員がポイント制で評価します。予選・決勝戦は飛行シミュレーション形式で行われ、画面上にバーチャル表示されたドローンの飛行ルートを皆で観戦しました。

World Drone Competition

7月11日には、横浜市から東京湾を挟んで対岸にある千葉県富津市をゴールに約16kmのコースでドローンの性能を競う「World Drone Competition」が開催されました。富津市で発生した大規模災害直後の被災地調査および被災者支援を想定し、(1)被災地全体の調査と報告、(2)被災者が必要とする救援物資の識別と調達、(3)難病患者にできるだけ早く貴重な薬を調達する、という3つの課題を的確に達成する精度を競いました。

■MathWorks Minidrone Competition
プログラミングしたドローンが指定のルートを辿る様子
■World Drone Competition
展示ホールのモニターに映し出された東京湾を横断するドローンの中継録画

WRS Future Convenience Store Challenge

7月12日から14日にかけて、ロボット技術により従業員の負担を軽減するサービスの実現を目的とするコンペティション「WRS Future Convenience Store Challenge」が開催されました。展示ホールに設けられたコンビニエンスストアの模擬店舗には、実際に販売されている軽食やペットボトル飲料が陳列され、参加者は開発したロボットを用いて「陳列廃棄タスク」「接客タスク」「トイレ清掃タスク」に挑戦し、システムの正確性を競いました。

■WRS Future Convenience Store Challenge
模擬店舗での陳列廃棄タスク

展示

本会議では、国内外の27の企業/団体による自動制御にまつわる技術や製品の展示が行われ、エネルギー・環境・災害・パンデミック・SDGsなど、世界的に重要な課題の解決に向けたシステム科学技術が紹介されました。
VRや強化学習AIを取り入れたロボットやシステムの体験コーナーが多くあり、自動制御技術を見て聞いて触れる工夫がされています。

展示会場
AIを活用した自動車制御のライブデモンストレーション

セッション

約1,000人収容のメインホールで行われた、自動制御分野の第一人者による講演「プレナリートーク」は満席となる大盛況。
また、「テクニカルセッション」や「パネルディスカッション」では、地球規模の社会課題解決のため、自動制御システムの持つ可能性について、様々な立場からの議論や提案が行われました。

プレナリートーク
テクニカルセッション

参加者同士の交流

リフレッシュメントコーナーでは、百人一首をモチーフにした包装紙のお煎餅や横浜名物のお菓子が提供されました。海外からの参加者に日本文化を感じていただくとともに、お菓子にアレルギーやハラルに関する掲示を行うなど多様な参加者への配慮がされています。
セッションの合間のコーヒーブレイクの際には、参加者同士が旧交を温めたり、新たな出会いに意気投合したりして、交流を楽しんでいる様子が伺えました。

コーヒーブレイク
提供されるお菓子のアレルギーやハラルに関する掲示

そのほか、7月12日には、みなとみらい・日本丸メモリアルパーク(シーカヤックパーク)にて、イルミネーションで装飾された水中ロボット・ドローンによる水辺のパフォーマンスイベント「海洋ロボット夜の祭典」なども行われました。

コングレは、2016年から民生用・商業用ドローン(無人航空機システム)産業の国際展示会&コンファレンス「Japan Drone」を開催しています。本会議でも、Japan Droneに出展いただいた企業がイベントに参加しており、産業の発展を実感する機会となりました。

本会議のテーマである自動制御分野の可能性には大きな期待が寄せられており、今回はその広がりや確かな発展を皆が感じるとともに、コロナ後初の対面開催で、日本の技術力や横浜の魅力を世界に発信するよい機会となったことと思います。
当社はこのような国際会議の運営に携わることができ、ご関係の皆様に改めて感謝申しあげます。